1999年度

第7回 ミューズキャット

*** リコーダーの歴史、楽曲、楽しみ方 ***

吉沢実氏 (演奏家)

講師紹介

 学校教育においてリコーダーが用いられていますが、その理由には、リコーダーは発音が容易であること、表現方法やレパートリーが多くあらゆる年齢層に対応出来るという利点があることがあげられます。 (吉沢氏主演のハムレット劇によると、) ハムレットは「 (リコーダーは) うそをつくよりも簡単に吹ける」と言っているそう・・・ここでも容易に吹きやすいことを表しているということです。

 初期のリコーダーはムクドリ、カナリアなどの小鳥の声のためのレッスン (小鳥に鳴き声を指導する) としてつかわれていました。この小鳥に鳴き声、鳴き方を指導するつまり記憶させると言うことが記録=Recodeに通じているのです。また、イギリスで生まれたこの楽器は“イギリス紳士のたしなみ”ともいわれています。

 中世 (ルネッサンス期)の初期のものは割れのない一本のものでした。たて笛はフルートの一種であり、ガルベは三つの穴だけで吹き方の強弱で音程を変えるものでした。初期のフルートについては音が均一に出るものではなく音程が定まらないものでしたが、18世紀にテオバルト・ベームにより指穴の改良がなされました。これが現代のフルートのはじまりです。

 中世、バロック、現代と時代によって音も違い、時代がすすむにつれ半音ずつ上がっています。また、音はその国のことば (人の声) によく似ており、国によって音色が違うようです。

 この日、見せていただいた楽器はその数84本。極小から極大まで、小指ほどのリコーダーからティンホイッスル、つのぶえなど様々な大きさの楽器がずらりと並びました。

ずらりと並んだリコーダーたちおもちゃではありません人の背丈よりも大きなリコーダー

原始的な楽器では弥生の土笛、縄文の土笛、パンの笛、石笛 (いわぶえ)。
これらは神々にお願いする道具として使われていたそうです。その中で海辺で拾って来たという石笛は石の穴も天然につくられたもの。自然から生まれたその楽器は、不思議なくらいきれいな音を響かせていました。 三島由紀夫はその音を聞いたときのことを「英霊の声」の中でこういっているそうです。「石笛の音を聞いたことのない者にはわかるまいが、心魂わゆるがすような神々しい響きを持っている。清澄そのものかと思うと、その底に玉のような温かい不透明な澱みがある・・・」

 演奏を交えながらの劇あり、笑いありの楽しいお話はあっという間に過ぎてしまい、最後は童話「100万回生きたねこ」のお話に合わせて音楽をつけ演奏するという体験をさせていただきました。声音、ソプラノ・アルト・バスリコーダーを使ってみんなで演奏。みんなが夢中になりました。

吉沢実氏の開設されているwebページはこちらです。http://www.nttl-net.ne.jp/mino/mino/menu.html


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